MERIT

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MERIT活動報告

カリキュラム
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俯瞰力
  • ・統合物質科学俯瞰講義
  • ・MERIT特別講義
統合物質科学俯瞰講義

 

 物質科学の各分野の第一線で活躍する先生方が講師となり、その分野の最前線を概説する講義です。本講義は、組織論や科学史・科学倫理から最先端の科学技術までを修得する場であると同時に、グローバルに活躍するために必要な「俯瞰力」が養成される場でもあります。

コース生の声

 俯瞰講義ではリーダー論や研究倫理といった専門研究とは異なる講義の一方で、物理・化学など専門研究の最先端のお話を聞くことができ、非常に有意義でした。普段他分野の講義を聞く機会はなく、授業に出てみたとしてもその内容は専門外の学生には理解が非常に難しいと思います。しかし、本講義では、講師の先生方が様々な分野のコース生の存在を考慮し平易な説明をしてくださったので、今まで興味はあったものの未知であった学問について知ることができました。

 異分野の研究内容というよりは先生の研究に関する考え方や研究者としての人生経験の方が参考になる講義で、個人的にはとても良いと感じました。

 

  • MERIT俯瞰講義 講義画像01
  • 【東大本郷キャンパス】2013年4月11日
    精鋭教授陣13名により、俯瞰講義が行われます。世界最先端の物質科学がここにあります。
  • MERIT俯瞰講義 講義画像01
  • 【東大本郷キャンパス】2013年4月11日
    北森教授による講義が「物質科学におけるリーダー人材」と題して行われました。
  • MERIT俯瞰講義 講義画像01
  • 【東大本郷キャンパス】2016年6月2日
    片岡教授による講義が「夢を形に:ナノテクノロジーで創る体内病院」と題して行われました。
MERIT特別講義

 

 産業界・官界においてリーダーとして活躍されている方々を講師に迎えた特別講義を受講します。講義は年4回のペースで行われ、研究開発、企業経営や政策決定について、生の声を聞くことができます。また、企業の特別講義では、研究所や工場を訪問し、開発や製品化の現場の空気を肌で感じることもできます。

コース生の声

 内閣府の話を聞き、日本の科学技術のこれからのあり方を誰がどのように決めるのか、これまでの理解が大きく変わりました。日本が、研究、教育のレベルで欧米に負けず、世界をリードするために、政策の策定と研究者の努力の観点からどのようにすればよいか、を強く考えさせる講義内容でした。

 博士課程に進学する人は、アカデミックポスト以外の道をあまり考えずキャリアパスを狭める傾向にあるので、こういった産業界、官界との交流はパスを広める意味で大変貴重な機会となりました。今まで受けた講義を通じて、私のキャリアパスの選択肢が広がりました。

 

  • 【富士フイルム先進研究所】2014年2月21日
    富士フイルム株式会社
    R&D統括本部長や研究者の方々から、アカデミズムと企業内研究の違いなど広い視野からご講演をいただきました。
  • MERIT特別講義 旭化成富士支社画像
  • 【旭化成富士支社】2015年2月23日
    旭化成株式会社
    研究所長や研究者の方々より、技術領域の境界を超えると何が生まれるのかについてご講演いただきました。
  • MERIT特別講義 台湾画像
  • 【台湾】2015年8月5日〜8月7日
    Taiwan
    Semiconductor Manufacturing
    Company Limited(TSMC)・国立交通大学

    半導体産業の第一線で活躍されている技術者と研究者の方々より、研究開発の哲学や海外でのキャリアパスについてご講演いただきました。
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コミュニケーション能力
  • ・MERITコロキウム1
  • ・MERITコロキウム2
  • ・MERIT自主キャンプ
  • ・その他の施策
MERITコロキウム1

 

 コロキウムは、最も重要なコースワークに位置付けられており、幅広い分野にまたがる各コース生が英語で研究発表を行います。活発な質疑応答を通じて、異分野研究への理解が深まるだけでなく、コース生各自が追求する専門性を広い視点から見つめ直す絶好の機会となります。

コース生の声

 異分野の人を意識した発表を行う姿勢が身に付いたと思います。また、異分野の研究分野の話を聞く機会があるだけでも、その分野に関する抵抗が減ることもあり、有意義であったと思います。人によってはコロキウムの話を聞いて融合研究に発展することもあったようで、コロキウムの実施はとても重要で素晴らしいことだと思います。

 昨今の科学界においては、論文や学会等多くの場合において英語が用いられています。そのような中、世界の研究者と対等に渡り合うには英語が必要不可欠であり、英語でのディスカッションは非常に有意義であると思います。時には、英語ではディスカッションの内容の理解が追いつかないこともありましたが、グループ討議において詳細を質問することができたので、良かったと思います。

 

  • MERITコース生専用室 風景画像01
  • 【MERITコース生専用室】隔週土曜日
    学生主導の研究発表&討論会。各回3〜4名の発表者による研究成果発表が、他分野のコース生にも分かりやすい形式で行われています。
  • MERITコース生専用室 風景画像02
  • 【MERITコース生専用室】隔週土曜日
    各発表に対して分野を超えた真剣な質疑応答がなされます。高い専門性と同時に、俯瞰力、コミュニケーション力が問われる場面です。
  • MERITコース生専用室 風景画像03
  • 【MERITコース生専用室】隔週土曜日
    全体発表の後、複数のグループに分かれてさらに詳しい質疑応答がなされます。
MERITコロキウム2

 

 自主的に設定したテーマに沿った少人数チームによる俯瞰的研究調査を実施し、それらの成果を公聴会形式により発表しディベートを行います。濃密なグループワークを通じて、チーム独自の課題の発見と解決に取り組みます。

コース生の声

 研究は基本的に個人プレーなので、話し合いの良い練習となりました。グループの人たちとはとても仲良くなれ、自分たちの研究とは全く違うテーマについて深く調査したので、普通に研究していたら出会えない新たな知識を得ることもできました。

 私達はサイエンスコミュニケーションが閉鎖的である現状に疑問を抱き、最先端研究を伝えるサイエンスメディア「BuzzScience」を10人の仲間と共に立ち上げました。集中的な記事配信とそのアクセス解析から科学を伝える方法の可能性を探るのがその目的でしたが、少なくない反響がありました。実際、難病研究の記事には、難病患者からの問い合わせを多数いただきました。私達の感じる疑問は、行動に移せば社会に還元できます。これが、MERITで私達が学んだ大切な事の一つです。

 

  • MERITコロキウム2 弥生画像
  • 【弥生講堂】2013年10月14日
    学生が独自に課題を設定しグループワークを行った結果の発表が、弥生講堂において企業関係者を招待して行われました。
  • MERITコロキウム2 小柴ホール画像
  • 【小柴ホール】2015年10月1日
    グループワークを行った結果の発表が、小柴ホールにおいて行われました。
  • MERITコロキウム2 ホテルヘリテイジ画像
  • 【ホテルヘリテイジ】2016年8月4日
    グループワークを行った結果の発表が、小柴ホールにおいて行われました。
MERIT自主キャンプ

 

 1〜2年次のコース生を対象とし、年1回行われる研究討論合宿です。キャンプの企画から当日の進行までの全てを、コース生が主体的に行います。研究発表と質疑応答や、徹底的な議論を通して、コミュニケーション能力や論理性が鍛えられます。また、共同生活を通じて異分野間の心理的な障壁が取り払われ、自発融合研究のパートナー探しが促進されます。

コース生の声

 雪の降り積もる越後湯沢で、宿に缶詰の三日間でした。普段は研究に忙しい仲間達と、互いの研究への理解と親睦を深めることに集中できた貴重な機会となりました。この年は、初日に小人数のグループに分かれ、研究内容を初歩から徹底的に教え合う勉強会を行いました。物質科学の基礎を習得した仲間達なので、相手の研究で物質の構造や性質をどう活用しているかが詳しく分かれば、分野の違う自分の知識がそれに応用できないかという議論が始まります。結果として、三日目の共同研究のアイディア発表会では、本格派な研究計画の紹介が相次ぎ、MERITの掲げる”統合物質科学”の大きな可能性が見えたのが印象的でした。

 

  • MERIT自主キャンプ 越後湯沢画像
  • 【越後湯沢】第1回:2013年3月18日〜20日
    年に一度学生主導で開催される泊まり込みの自主キャンプ。コース生ほぼ全員、約80名が参加しました。
  • MERIT自主キャンプ 風景画像
  • 第2回:2014年3月10日〜12日 第3回:2015年3月9日〜11日
    コース生は研究室や分野を結ぶ外交官。コロキウムやこの自主キャンプでの交流や議論を“自発融合研究”に発展させます。
  • MERIT自主キャンプ ホテルヘリテイジ画像
  • 【ホテルヘリテイジ】第4回:2016年8月4日〜6日
    ホテルに3日間滞在し、ポスター発表や全体討議において徹底的な議論を行い、異分野交流を図りました。
その他の施策(他分野教員によるダブルメンター制、など)

 

 世界トップクラスの主指導教員の緊密な指導による専門研究の充実を前提とし、さらに異分野の第一級の教員が定期的に研究指導を行うダブルメンター制を導入しました。副指導教員の研究室におけるセミナーや懇親会への参加、他分野の副指導コース生を研究室に集めてお互いの研究内容を発表する研究交流会を行う等、俯瞰力と独創力を養成するために独自の工夫をしています。

コース生の声

 自分の専門分野とは異なる視点から自分の研究を評価していいただくことで、今まで気付かなかった利点や欠点に気付くことができます。そのような指摘を受けることで研究の内容をより深めることができるため、本制度はとてもいいと思います。

 指導教員に相談し難いことも、少し距離のある立場にある教員に対してなら気軽に相談できることも多々あると思います。実際、副指導の先生には、研究のみならず、MERITでの活動についても相談に乗っていただき感謝しています。セミナーでの発表でも、他の分野の学生や教員から自分の研究がどのように見えるかということを感じることができました。

 

  • MERITその他の施策 風景画像01
  • 【副指導教員研究室】2017年1月27日
    3ヶ月に一度、副指導教員に進捗を報告するとともに、研究に関する議論を行っています。
  • MERITその他の施策 風景画像02
  • 【研究室セミナー】2017年1月27日 第3回:2015年3月9日〜11日
    履修報告時に副指導教員研究室でセミナーを行い異分野交流を図っています。
  • MERITその他の施策 風景画像03
  • 【懇親会】2013年9月19日
    懇親会で副指導教員研究室の若手教員と気兼ねのない交流を図っています。
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実践力
  • ・海外研修/エラントリー
  • ・長期海外派遣
  • ・インターンシップ
  • ・自発融合研究
海外研修/エラントリー

 

 海外研修やエラントリーでは、関係専攻の学生に対し、訪問大学の学生や研究所の研究者とのディスカッション(英語)の場を提供しています。トップクラスの大学・研究所における学生・研究者との交流を通じて、国際的な環境の中で分野の壁にとらわれず、自由な発想や構想の芽が生まれることが期待できます。

コース生の声

 海外研修を行う中で、日本人の持つ「遠慮の精神」が海外では全く役に立たないこと、自らの存在(意見)をアピールすることの重要性を強く感じました。また、国外の研究者との交流に心理的バリアが無くなりました。そのため、積極的に交流できるようになり、共同研究などの立案につながりました。

 エラントリーでは、私自身の講演、また、その後に多くの研究者と討論する機会を頂き、大変有意義な時間を過ごすことができました。研究者として大きく成長できたと実感しています。特に、異なる文化・哲学・視野をもつ研究者との交流は、今後の研究人生について多くのことを考える貴重な機会となりました。

 

  • MERIT海外研修 オランダTwente画像
  • 【オランダTwente大学】2013年3月4日〜9日
    Twente大学で、施設全体の研究戦略について半日講義を受け、付属の巨大クリーンルームを見学しました。
  • MERITその他の施策 アメリカYeae画像
  • 【米国Yale大学】2014年2月24日〜3月1日
    Yale大学を訪問した際の集合写真です。翌日は事前に各自でアポイントを取った大学や研究機関を訪問しました。
  • MERITその他の施策 スタンフォード大学画像
  • 【スタンフォード大学】2016年2月22日〜28日
    スタンフォード大学の研修において、両校の学生が独自に課題を設定してグループ討議が行われました。
長期海外派遣

 

 派遣先・研究計画などをコース生自らが主体的にアレンジし、海外大学や研究機関に1〜3ヶ月間滞在して研究を行います。異なる環境における研究交流や文化交流を通して、国際的に活躍できる人材の育成を図ります。

コース生の声

 本制度を活用することによって、大きく世界観が広がりました。多様な国籍の人々とともに研究を行うことで、様々な価値観が存在することを知り、日本の研究環境の長所や短所を知ることができました。異分野では、研究の目的や手法、過程が大きく異なります。これらのことを知っているのと知らないのとでは、博士課程の自らの研究に挑むうえで大きな違いになるのではないかと思います。

 異国の習慣や研究スタイルに触れ、彼らの思考や価値観を幾ばくか理解することができました。また、個人としてだけでなく日本人として見られることで、背筋が伸びるような気持ちになりました。さらに、この海外派遣を通して学んだことを自らの研究に応用して研究を格段に進展することができました。新しいことを積極的に取り入れ活かすことこそ、問題解決の糸口となることを実感しました。

 

  • MERIT長期海外派遣 カリフォルニア大学画像
  • 【カリフォルニア大学】2016年9月25日〜10月31日
    山田昌彦:カリフォルニア大サンタバーバラ校の理論物理学研究所のXu教授グループの下に滞在し、共同研究を実施しました。
  • MERIT長期海外派遣 テキサス大学画像
  • 【テキサス大学】2015年9月27日〜12月18日
    大熊信之:テキサス大学オースティン校のMacDonald教授グループの下に滞在し、教授と研究員の方と共同研究を行いました。
  • MERIT長期海外派遣 国立化学・生物物理学研究所画像
  • 【国立化学・生物物理学研究所】2016年1月3日〜3月11日
    木下雄斗:エストニアのタリンにある、国立化学・生物物理学研究所のRõõm教授とNagel教授のグループの下に滞在し、研究活動を行いました。
インターンシップ

 

 国内外のインターンシップを通して、製品化を見据えた実践的な研究・開発の視点を養い、国際社会に通用するリーダー人材を育成することを目指します。短期の滞在であるにもかかわらず、海外の大手半導体ファウンドリで特許申請に至るといった目覚ましい成果も上がっています。

コース生の声

 インターンシップ期間に文化の異なる様々な人々と交流することで、自国文化・社会体制の良い点、悪い点について改めて考えることができました。また、日本が世界と戦い勝ち抜くために何が必要かを考える良い機会となりました。

 私がインターンシップを実施した企業は世界最大の半導体製造ファウンドリであり、ファウンドリビジネスという新しい産業を産みだした世界的企業です。私がここで感じたことは、半導体分野では産業だけでなくアカデミックにおいても日本は台湾に負けているということです。人の質、量と規模でも負けている日本の半導体産業は将来どの方向を目指すのだろうか、と感じてしまったのが正直な感想です。

 

  • MERITインターンシップ 風景画像01
  • 【L’Oréal】2014年8月1日〜10月25日
    波多野淳一:フランスに本社を置く世界最大の化粧品グループL’Oréalにおいて、新規染髪材料の合成に携わりました。
  • MERITインターンシップ 風景画像02
  • 【BASF】2014年3月30日〜7月2日
    高橋京佑:ドイツの総合化学会社であるBASFにおいて、新規触媒の合成、分析、および種々の反応に対する触媒活性評価を行いました。
  • MERITインターンシップ 風景画像03
  • 【TSMC】2014年8月4日〜10月25日
    井口俊太:台湾の半導体製造ファウンドリであるTSMCに滞在中に、LSIの研究開発が盛んな国立交通大学を訪問しました。
自発融合研究

 

 異なる研究室に所属するコース生同士が、コロキウムや自主キャンプでの交流を通じて自発的に課題を発案し、いずれかの研究室にて行う共同研究です。有望な萌芽的研究課題に対しては、奨励研究費が支給されます。一部の研究は、すでに学術雑誌に掲載の段階まで進んでいます。

コース生の声

 私達二人の自発融合研究は、MERIT自主キャンプやコロキウムなどによる交流を通して発案したものです。「光触媒」と「光物性」の視点から議論・協力することにより、異分野間での知識の共有から融合、そして新たな発見という、異分野融合の醍醐味を経験することがきました。分野の枠を超えた人との交流によって新たな視点から研究を展開することは、広大な物質科学の中で自身の立ち位置と分野間の関わりを考えるきっかけを与えるだけでなく、新たな発見にも繋がる実にエキサイティングなものであると実感しました。この経験を生かし、物質科学のイノベーションに繋げたいと思います。

 

  • MERIT自発融合研究 風景画像01
  • 【柏キャンパス】2014年2月〜6月
    川崎・五月女:光触媒と光物性のそれぞれの視点から議論・協力することにより、融合研究を行いました。
  • MERIT自発融合研究 風景画像02
  • 【本郷キャンパス】2014年4月〜7月
    若林・高橋:半導体スピントロニクスとナノスケール磁性計測に関するお互いの知識と経験を活かして実施した融合研究結果が学術雑誌に掲載されました。
  • MERIT自発融合研究 風景画像03
  • 【柏キャンパス】2016年11月〜2017年3月
    松浦(慧)・松浦(康):高圧下での物性測定と超音波計測に関するお互いの知識と経験を活かすことによって、融合研究を進めています。